皆さんこんにちは!
パイント君です。
前回は、駐在員以外の日本人がロンドンに住む場合、
「デフォルトは家具付きのシェア」
という話をしました。
今回は、物件探しをする際の具体的なポイント・注意点をさらに掘り下げていきますっ!
イギリスのフラットはクセが強い!
イギリスのみならず、ヨーロッパの建物は、外からは中がどうなっているか予想がつきません。特に古いアパートは、各フラットのオーナーが入れ替わるたびに改装を繰り返してるので。
もともとは同じつくりだったフラット同士でも、間取りや設備が全く違っていたり。
新築ビルでも、オーナーの好みによって各フラットの個性というかクセが少しずつ出てきます。
なので、同じ建物内で似たようなフラットを内見するチャンスがあったとしても、あまり参考にはなりません。
大げさに言えば、全てのフラットがそれぞれ唯一無二の存在なのです!
どうしてこうなるのか?
パイント君なりに、その理由を考えて見ました。
・イギリス人は自分の家に対する愛着が強いので、DIYで自分仕様にしてしまう
・同じ建物内でオーナーが自ら住む物件と賃貸用に貸し出している物件が混在するなど、権利関係が複雑なため、年月と共に各フラットの統一感が薄れていく
・「Property Ladder(プロパティラダー、不動産転がし)」をしてのし上がるため、手を加えて価値を上げてから転売するのが半ば常識になっている
こうした理由により。
物件探しに当たっては、必ずビューイングをするようにして下さいねっ!
広告の見方(専門用語など)
ハイストリートの不動産屋で物色するにせよ、オンラン検索するにせよ、はたまたクラシファイドを活用するにせよ。各物件の広告を読み取る力がなければ、どうにもなりません。
基本的な専門用語を以下に挙げてみますね:
・pw、pcm
pwは「per week」の略で、一週間当たりの家賃。
pcmは「per calendar month」の略で、一ヶ月当たりの家賃です。
イギリスでは昔、労働者が一週間ごとに賃金を受け取っていたのでしょうか?
そのせいか、週単位で物事を考えるパターンが結構あります。
家賃の場合もpwが基本ですが、注意したいのは大家への支払いは月単位であること。
なので最近は、pcmも併記されていることが多いです。
ただし、例えば「£140pw」と書いてある物件のpcmは、£140 × 4週間=£560ではありません汗
£140 × 52週間÷12ヶ月=£607
となりますので、ご注意を。
・Furnished(ファーニッシュト)
既に説明した通り、家具付きの物件を指します。
・Unfurnished(アンファーニッシュト)
こちらは家具なし。
・Single room(シングルルーム)
シングルベッドがちょうど入る大きさの部屋。
主観入りまくりです。
・Double room(ダブルルーム)
ダブルベッドがちょうど入る大きさの部屋。
やはり主観入りまくりです。
・Bedsit(ベッドシット)
部屋に専用の台所がついている物件。
・En suite(アンスイート)
部屋に専用のバスルーム(+トイレ)がついている物件。
・Floor plan(フロアプラン)
間取り図のこと。
南向きにさほどこだわらないのか、方角が書いてないことが結構あります。
フロアプラン自体が載っていない物件も多々ある。
まあ、フラット(家)全体を借りるのでなければ、必要ないかもしれませんが。
・sq ft、ft2(スクエアフィート)
1平方フィート=0.093平方メートルです。
・All mod cons(オール・モッド・コンズ)
All Modern Conveniences=近代的設備完備 の略。
ポール・ウェラーの最初のバンド、ジャム(The Jam)のサードアルバムのタイトルは、ここから来ています!
・Refurbished(リファービッシュト)
改装済みの意。
・All bills included(オール・ビルズ・インクルーディッド)
ビル(Bills)、つまり光熱費(電気・ガス代)が家賃に含まれるってこと。
最近は水道代とインターネットも込みであることが多いです。
後述のカウンシルタックスとTVライセンスが含まれる場合もあります。
・Council tax(カウンシルタックス)
日本の住民税にほぼ相当。
住宅の資産価値(A〜Hの8つのバンドに分かれる)によって決まり、独り暮らしの場合はディスカウントがある。
学生は無料だったりするので、シェアの場合は負担額を大家や他のテナントと要相談。
・TV licence (テレビライセンス)
公共放送BBCの受信料。
取り立ては厳しく、最近はオンラインでの視聴でも支払いの義務あり。
・Deposit(デポジット)
敷金のこと。通常は4週間分です。
運が良ければ退出時に全額戻ってきます。
・No DSS
低所得のテナントに支給される住宅手当(Housing benefits)を受け取る人には貸しませんよ、という意味。
DDSは「Department of Social Security」の略で、かつて存在した管轄の社会保障省のことです。
差別に当たるということで、最近は社会問題化してます。
家賃相場
皆さんが最終的に最も知りたいのは、「家賃相場」ではないでしょうか?これは非常に難しいところで、下手なことを書くと
「ウソこけ!」
「パイント君の情報は間違っとる!」
とかツッコミが入りそうで正直怖いです ̄Д ̄;;
上で説明した、部屋の広さや設備に左右されるのはもちろんですが。
それ以外だと、以下が大きな要因となります:
・ゾーン(Zone)
フラット探し(1)でもお話しした通り、基本的に数字が若いほど高くなります。
(当たり前だけど、同じゾーン内でも、おしゃれなエリアや高級住宅街は高い)
また、ロンドンは東西南北で見ると
「テムズ川の北側の方が南側より高い」
「西側の方が東側より高い」
傾向にあります。
あくまで、ざっくりですが。
・ポストコード(Postcode)
ポストコードは郵便番号のこと。
ゾーンが同心円状になっているのに対し、ポストコードはアルファベットと数字の組み合わせで具体的なエリアを示します。
日本の郵便番号のように、前半と後半に別れており。
不動産物件をオンラインで検索したり、不動産屋にエリアの希望を伝える場合は、前半だけが使われる場合が多いです。
これがまた非常に良くできていまして、その前半部分でイギリス全土がざっくりと区分けできるわけです。
ロンドンの場合は、中心部が「WC」「EC」で、その周りを北から時計回りに「N」「E」「SE」「SW」「W」「NW」で取り囲む感じ。
御察しの通り、東西南北とセントラルの頭文字ですな。
それぞれがまた細分化され、例えば「SW」は、「SW1」から「SW11」までの11エリアに分かれるって寸法。
なので、ロンドン北西部に住みたいなーと思ったら、まず「SW」に当たりをつけて。
で、第1希望の駅やストリートが「SW1」にあることが分かったら、SW1を中心に検索を絞り込めばいいのです。
ちなみに、フルのポストコードは「SW1 5AB」のような形になっており。
後半部分も晒すとほぼ完全に住所を特定できるので、本人確認にもよく使われます。
いやーホント良くできています。
やるぞイギリス人!
なお、不動産検索サイトの代表選手には以下のようなものがあり、やはりポストコードで検索できるようになってます。
最初に「To Rent(賃貸)」を選んで下さい。
Rightmove(ライトムーブ)
https://www.rightmove.co.uk
Zoopla(ズープラ)
https://www.zoopla.co.uk
PrimeLocation(プライムロケーション)これは高めです。
https://www.primelocation.com
・交通の便
これも至って常識的なハナシで、地下鉄の駅から近い方が高いわねー。
また、地下鉄沿線の方が、BR(ブリティッシュ・レール、旧国鉄)沿線より高いかも。
BRは都心への接続が悪い場合が多いので。
・治安
これはストリートレベルでも決まるので、家賃が異常に安い場合は治安の悪さを疑いましょう。
昼と夜の両方とも、実際に足を運んで確認する必要があります。
・築年数
これは一筋縄では行かない世界です。
と言うのも。
イギリスでは一般的に、古い建物ほど価値があり。
「Listed building(指定建造物)」に指定されたフラット、オフィスビル、倉庫、教会、図書館などの内側をウルトラモダンに改装して、超高級フラットとして売り出したり貸し出したりすることも多いからです。
かと思うと、特に戦後から30年くらい前までに建てられた「単に古い」フラットは、比較的安いと言っていいでしょう。
見るからに外観が安っぽいです。
最初は、これら2種類の古いフラットの区別がつきにくいかもしれません。
一方、最近の再開発ラッシュで、かつてはヤバイ雰囲気だったエリアに、どんどん新しいフラットが建設されています。
これが、日本人がイメージする「マンション」に最も近いかと。
新しいだけあって設備やセキュリティーも充実していますが、その分、家賃が高い!
「ゾーン1」や「ゾーン2」にも、かつてヤバイ雰囲気だったエリアはまだ残っており。
そうしたエリアが再開発されれば、交通の便がいいだけに、家賃相場はグンと上がります。
日本でいう高層マンションも増えています。
イギリス人は、こうした「味気ない」、背の高いビルを非常に嫌いますが、若い人はあまり気にしないと思います。
そもそも、ロンドンは外国人だらけなので、安全性や利便性の面から、新しいに越したことはない、てな感じでしょうか。
ちなみに、パイント君が現在住んでいる建物は築300年近いです( ̄∇ ̄;)
…江戸時代だ。
話をまとめると、
家賃が高い順に
古いが歴史的に価値のあるフラット>築浅のフラット>古くて安っぽいフラット
となります。
そして、今までお伝えした情報をすべて加味すると、独りでロンドンに移住する方は
・「ゾーン2かその外側」のエリアで
・「築浅」または「古くて安っぽい」
・「家具付き」のフラットを「シェア」する
というのが典型的なパターンになります。
パイント君がロンドンに移住した2000年代前半は、超人気エリアの「カムデンタウン(Camden Town)」でさえも。
運がよけりゃ、週当たり90ポンドでこうした条件のフラットに住むことが可能でした。
しかし、今はどうか?
断言はできませんが、おそらく2倍くらいはするんじゃないですかねえー
カムデンのような超人気エリアでなければ、
・ゾーン2
・シングルルーム
・キッチン、バスルーム、トイレをシェア
・水道光熱費、インターネット、カウンシルタックス、TVライセンス込み
で、平均して週140ポンド前後ではないでしょうか?
少し贅沢なベッドシットやアンスイートであれば当然、その分高くなります。
一概には言えませんが、学生さんや現地採用のワーカーであれば、
住宅費は目安として「月額800ポンド以内」に抑えたいところですね。
おさらい
・イギリスのフラットはそれぞれが唯一無比の存在、ビューイングはマスト・不動産広告の専門用語を覚えよう
・家賃は週単位で書いてあっても、実際の支払いは月単位が普通
・水道光熱費、インターネット、カウンシルタックス、TVライセンスが込みか確認すべし
・ロンドンの家賃の目安は週140ポンド前後、できれば月額800ポンド以内に抑えたい
脱サラ、海外移住、フリーランスを目指している方をはじめ、皆さんのお役に立てば幸いです。
次回はいよいよ、フラットを借りる際の具体的な手続きについてご説明しますっ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!