皆さんこんにちは!

 
ロンドンは秋というか…もう冬ですね。

寒いのは結構嫌いじゃないけど。

 
さて、今回は。

「格安航空」
についてお話しします。

 
前回もご説明した通り。

イギリスから週末などを利用してヨーロッパ内でプチ旅行する際、鉄道やバス、フェリーで行けるのはせいぜい

アイルランド、フランス、ベルギー、オランダ
が限界です。

 
普通はこれらの国々を含め、飛行機で移動する人の方が多いのではないでしょうか。

 
そうなると、飛行機代が予算に占める比重は小さければ小さいほどいい。

なんせ、空を飛んでいるのはたった数時間ですからね。

 
そこで頼りになるのが、今や日本でもお馴染みの

「格安航空」

でございます。

 
これはもともとアメリカ発祥のコンセプトで、ヨーロッパに持ち込まれたもの。

日本では「LCC」という呼称が定着してますが、イギリスでは

「No-frills airline(ノーフリルズ・エアライン)」
と呼ばれることが多いです。

余分な飾りを省いた、すなわちサービスを最小限に抑えたという意味です。

ここでは「格安航空」で統一します。

 
さて、皆さんに質問。

航空会社にとって、最も負担が大きい項目は何だと思いますか?

 
…答えは「燃料費」です。

 
これは原油価格などに大きく左右されるので、完全なコスト管理は無理。

従って、チケット代を下げるには、他のアイテムに手を付けるしかないワケですね。

 
乗客の側でも、

「大して美味しくもない(失礼)機内食なんか食べたくない」

「たかだか数時間のフライトなら最低限のサービスでいい」

という“マイナスの”ニーズが高まり。

双方の思惑が一致して、今やナショナルフラッグ・キャリアを脅かす存在になったのです。

ヨーロッパの代表的な格安航空会社

それでは早速、ヨーロッパを代表する格安航空会社をご紹介しましょう。

ライアンエアー

 
小田急線を派手にしたようなブルーとイエローのキーカラーでお馴染みの、ライアンエアー(Ryanair)

イギリスではなく、アイルランドの首都ダブリンに本社があります。

これほど評判の良くない企業は、世界でも珍しいと思います(苦笑)。

 
年間乗客数は何と、日本の人口より多い1億3,910万人!(2019年3月期)

単独のブランドとしては今や、ヨーロッパ最大の航空会社となっております。

(ドイツのルフトハンザ航空は、グループ全体でようやく1億4,000万人くらい)

 
搭乗率も、驚異の96%

これは全てのフライトがほぼ満員でないと、達成できない数字です。

一般的なキャリアは、80%チョイだったりしますからね〜

 
これだけの実績があるせいか、世間に嫌われても全然平気。

というか、業績だけを見れば非常に優秀な企業だと言えます(言いたくないけど)。

 
名物CEOのマイケル・オレアリー氏(↑)はあからさまに競合を攻撃したり、当局を批判したりします。

パイロットやCAをこき使うことでも有名で、最近になってようやく労組を認めました。

まあ、並の神経でできるものではありません。

 
顧客に対しては基本的に、

「この価格でできるサービスは限られている」

「嫌なら他の航空会社を使えばいい」

という潔い?スタンス。

 
チェックイン荷物を有料化したときは流石に驚きましたが。

これも今では、他社も追随するビジネスモデルとなっています。

 
他にも

・搭乗券の発行はオンラインのみ

・機内食は全て有料(持ち込み可なので、パイント君はそちらをオススメ)

・新聞・雑誌・エンタメ機能なし

・毛布なし

・座席のポケットなし

・リクライニング機能なし

…などなど、徹底したコストカットぶり。

アームレストの廃止を検討したこともありましたね(苦笑)。

 
頭上の荷物室は1人1個分のスペースしかないので、KYな乗客が1人でもいると、犠牲者が出てくる。

その場合、CAはスペース探しをキレ気味に手伝ってくれますが、無理やり荷物を押し込まれたり、とんでもなく離れた場所に置かれたりします。

何しろ、25分以内に乗客を座らせることを命題としていますので、それを阻む要素は徹底的に排除しようとします。

 
 
機内はもちろんギスギスした雰囲気で、客層も微妙(↑上の写真では全く伝えきれてません笑)。

バチェラーパーティーの野郎ども10人ぐらいのグループがいた日にゃ、離陸前からテンションが上がって騒いでいるので。

チーフパーサーは、そんな連中を睨みつけるようにして監視しています。

 
…いかがですか?

こんな飛行機には死んでも乗りたくないですよね?

 
し・か・し!

やはり安さには勝てません

ライアンエアーもその辺りをよく分かっていて、開き直っているのだと思います。

実際、格安航空のおかげで庶民が気軽に外国旅行に行けるようになったワケですし。

 
パイント君はかなり前ですが、何度か「タダ」で乗せてもらいました。

支払ったのは税金だけでしたね。

 
ライアンエアーはまた、発着料の安いマイナーな空港に乗り入れることでも有名です。

自治体から補助金を引き出し、広告費を負担させるという戦略です。

(このためEUとよく揉めます)

次にご紹介するライバルのイージージェットから、

「地理の勉強になる」

と揶揄されたりしてますが(笑)。

 
ちなみに今ではヨーロッパ外にも就航しており、

・ウクライナ(キエフ、ハリコフ、ヘルソン)*広義ではヨーロッパ

・トルコ(ボドルム、ダラマン、アンタリヤ)*広義ではヨーロッパ

・モロッコ(ラバト、フェス、マラケシュ、アガディール、エッサウィラ、ウジュダ、ナドール、ワルザザート)

・レバノン(ベイルート)

・イスラエル(テルアビブ、ラモン)

・ヨルダン(アンマン、アカバ)

などにネットワークを広げています。

イージージェット


 
お次はイージージェット(easyjet)。
 
イージーグループの創始者で、アイデアマンのステリオス・ハジイオアヌー氏が設立したイギリスの会社です。

キーカラーはグループ統一のオレンジで、ライアンエアーと違って基本的に主要空港に乗り入れています。

 
イージージェットの搭乗率も、91.5%と90%超え!

2018年9月期の乗客数は8,850万人と、ライアンエアーに次ぐ規模を誇ります。

 
 
ヨーロッパ以外では、

トルコ(イズミール、ボドルム、ダラマン、アンタリヤ)

モロッコ(タンジール、マラケシュ、アガディール、エッサウィラ)

エジプト(フルガダ、マルサアラム)

イスラエル(テルアビブ)

ヨルダン(アカバ)

に乗り入れています。

 
なおライアンエアーからは、「チケット代が高い」と批判されてます(笑)。

ウィズエアー

 
紫とピンクがキーカラーのウィズエアー(Wizz Air)は、ハンガリーの格安航空会社。

破綻した国営のマレブ・ハンガリー航空を引き継ぐような立ち位置で、急成長してます。

 
10月の搭乗率は立派な94%!

2019年3月期の乗客数は3,460万人でした。

こりゃ次にご紹介する、ノルウェー・エアシャトルをしのぐ勢いですな!

 
最初はマレブに続いて倒産しそうな感じもあったのですが。

ビジネスモデルがライアンエアーそっくりなので、これが功を奏したのでしょうか?

 
ハンガリーを根城としているだけあって東方に強く、ヨーロッパ以外では

ロシア(モスクワ、サンクトペテルブルク、カザニ)

ジョージア(クタイシ)

アゼルバイジャン(バクー)

カザフスタン(ヌルスルタン=旧称アスタナ)

イスラエル(テルアビブ、ラモン)

ドバイ

モロッコ(マラケシュ)

に就航しています。

 
パイント君は、ウィズエアーほど座席のピッチが短い飛行機に乗ったことがありません(苦笑)。

たまたま古い機材だったのでしょうけど。

ノルウェー・エアシャトル

 
ノルウェー・エアシャトル(Norwegian Air Shuttle、通称Norwegian)は、その名の通りノルウェーの会社。

4社の中では最も高級感があり、機内の雰囲気も悪くありません。

 
搭乗率は85.8%とちょっと低め。

2018年の乗客数は3,734万人でした。

 
ノルウェー・エアシャトルがすごいのは、

ヨーロッパの格安航空で唯一、長距離の大西洋便を運航している
こと!

 
アメリカはもちろんのこと、何とブラジルアルゼンチンにも飛んでるんです!

それ以外にも、

・トルコ(アンタリヤ)

・モロッコ(マラケシュ、アガディール)

・イスラエル(テルアビブ)

・ヨルダン(アンマン)

・ドバイ

にも乗り入れてますよ。

実際、どれだけ安いのか?

皆さんが気になるのはやはり、

ぶっちゃけ、格安航空のチケット代はどれだけ安いのか
という点だと思います。

2019年5月時点の情報だと、以下の表の通りです:
ライアンエアー 平均37ユーロ(4,500円)
イージージェット 平均61ユーロ(7,400円)
ウィズエアー 平均46ユーロ(5,600円)
ノルウェー・エアシャトル 平均91ユーロ(11,000円)
(参考)ルフトハンザ航空 平均176ユーロ(21,500円)
やはり、ライアンエアーが圧倒的に安いですね。

ノルウェー・エアシャトルやルフトハンザには中長距離便も含まれるので、完全な比較はできませんが。

指標の1つとして参考にして下さい。

追加アイテムに注意!

しかし問題は、チケット代だけではありません。

格安航空会社は最近、あの手この手で追加料金を上乗せしようとしてきます(怒)。

 
先ほど、ライアンエアーがチェックイン荷物を有料化したと言いましたが。

こんなのは序の口。

 
実際に、ライアンエアーのウェブサイトで、チケット購入手続きをなぞってみましょう。

オンラインで好きなチケット(今回はロンドン・スタンステッド〜バルセロナ)を選んで次のステップに行くと、

 
ランダム・アロケーション(空いている=良くない座席が割り当てられる)を強いられるスタンダードのほかに、「Plus」「Flexi Plus」の選択肢が。

これらのチケットは、優先的に搭乗できるとか、座席が選べるとか、荷物の制限が緩いとか、フライトを変更できるとか、そういった特典があります。

今回の例だと、「Plus」はスタンダードの2倍以上、「Flexi Plus」は4倍近い値段。

もはや格安航空ではありません(苦笑)。

 
ひるまずにスタンダードを選ぶと、次は

 
「真ん中の席があてがわれてもいいのか?」

としつこく煽ってきます。

 
 
念のため座席表を見ると、「座席を選ぶだけで」5ドルかかります。

前の方の座席だと15ドル、足元が広い座席だと16ドル!

 
ここでもひるまずチェックアウトに進むと、

 
「座席を選んでないけど本当にいいのか」と、再び念を押してきます。

 
ここまで来ると、立派ですね。

最後はもちろん、ダメ押しで保険に入るかどうかを聞いてきます。

 
航空会社はかつて、クレジットカードでの支払いに数パーセントの手数料を上乗せしていたので。

問答無用で5ポンドくらいの料金が上乗せされていました。

しかしイギリス政府は「詐欺」だとして、2018年からこれを禁止!

やったね!

 
…しかし、その分をどこかに転嫁したと言われています。

ヤレヤレʅ(◞‿◟)ʃ

機内持ち込み荷物制限を徹底比較

皆さんのもう一つの重大な関心事は、

機内にどれだけの荷物が持ち込めるのか
ではないでしょうか?

 
例えばライアンエアー。

2018年11月からは、

「機内に無料で持ち込める荷物がハンドバッグなどの小さいもの(前の座席下に入るサイズ)」

だけになりました。

かつては10キロまでの小型スーツケースが無料だったんですがねえ。

 
現在は、優先的に座れる「Priority & 2 Cabin Bags」の名の下で6ポンド〜を払うことで。
10キロまでの荷物+ハンドバッグ類の2つを持ち込める仕組みです。

 
あのねー

座席下に入るサイズのバッグだけだと、せいぜい1泊旅行しかできんわ。

女性なら日帰りも難しいかもしれない。

 
ということは、小型スーツケースを機内に持ち込もうが、チェックイン荷物(有料)として預けようが。

最低でも往復12ポンドかかるワケですよね?(実際はもっと高い)

 
これを踏まえて、再び4社+ルフトハンザを比較してみましょう。
無料で機内に持ち込める荷物 追加料金で持ち込める荷物
ライアンエアー 前の座席下に入る小型バッグ(40x25x20cm)1つ Priority & 2 Cabin Bagsの座席を選ぶと、
10kgまでの小型スーツケース(55x40x20cm)1つ

を追加で持ち込める
イージージェット 小型スーツケース(56x45x25cm)1つ

Flexi、Upfront、Extra Legroomの座席を選ぶか、easyJet Plusカード保有者は

前の座席下に入る小型バッグ(45x36x20cm)1つ

を追加で持ち込める
ウィズエアー 前の座席下に入る小型バッグ(40x30x20cm)1つ WIZZ Priorityの座席を選ぶと、

10kgまでの小型スーツケース(55x40x23cm)1つ

を追加で持ち込める
ノルウェー・エアシャトル 小型スーツケース(55x40x23cm)1つ

および

前の座席下に入る小型バッグ(33x20x25cm)1つ

(計10kgまで;PremiumFlexの場合は15kgまで)
ルフトハンザ航空(参考) 8kgまでの小型スーツケース(50x40x23cm)1つ

または

8kgまでの折り畳み可能なガーメントバッグ(57x54x15cm)1つ
ビジネスクラスとファーストクラスは

8kgまでの小型スーツケース(50x40x23cm)

または

8kgまでの折り畳み可能なガーメントバッグ(57x54x15cm)

を2つまで持ち込める
 
以上のように、気前の良さで見ると

ライアンエアーとウィズエアー<ルフトハンザ航空<イージージェット<ノルウェー・エアシャトル

の順になりますね。

 
ライアンエアーとウィズエアーは超強気!

でも、両社とも業績が順調に伸びているので、乗客は渋々ながら受け入れているということなのでしょう(涙)。

結論

色々文句を付けてるけど、パイント君の結論はどうよ?

格安航空に乗る価値はあるの?

…そんな声が聞こえてきそうです。

ごもっとも。

 
「あります」

というのがパイント君の結論です。

 
ただし、「ロンドンの空港はヒースローだけじゃない!」でも触れた通り。

格安航空は、ウルトラ早朝や超深夜に飛ぶことが多いです。

また、前述のようにやたらと追加アイテムをチラつかせたり、機内の雰囲気が悪いなど、マイナスポイントが満載。

 
でも、一流キャリアも最近は格安航空に「寄せて」きているので、サービスの質は大したことありません。

個人的には、ノルウェー・エアシャトルやイージージェットと同程度だと思います。

 
なので、

格安航空だからといって妙に敬遠するとか、

ナショナルフラッグ・キャリアだからサービスの質が高いはずと過度に期待するとか、

ではなく。

目的地や日程、発着時間、懐具合と相談して、フラットに考えればいいのではないでしょうか。

 
そもそも、自分が求める全ての条件が揃ったフライトなど、滅多に見つかるものではありません。

総合的に判断して結果的に格安航空になった、みたいな柔軟対応で行きましょう!

 
…それでは、今回はここまで。

脱サラ、海外移住、フリーランスを目指している方をはじめ、皆さんのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!