今回は、イギリスのスーパーマーケットについて徹底解説します。
スーパーというのは、お国柄が出るものでして。
その国の人々が何を好んで食べたり飲んだりしているのか、
物価はどれくらいか、
はたまたどんな乗り物に乗っているのか(駐車場を観察)、
などがザックリと把握できます。
なので、パイント君は旅行に行くたびにスーパーに立ち寄るようにしています。
イギリスに住み始めた頃も、色々なスーパーを探検しましたね〜
子供ができると、それまで立ち寄ることのなかったベビーコーナーにも超詳しくなりました笑
もちろん現在も、毎日のようにお世話になっておりますっ!
それでは参りましょう。
イギリスのスーパー勢力図
イギリスのスーパーマーケット業界は生き馬の目を抜く、厳しい世界です。テスコ(Tesco)、セインズベリー(Sainsbury’s) 、米ウォルマート系のアズダ(Asda)、モリソン(Morrison’s)の四天王に、
百貨店ジョン・ルイスのグループ会社で高級路線のウェイトローズ(Waitrose)、
ドイツ系のディスカウントショップで、四天王を猛追しているアルディ(Aldi)とリドル(Lidl)、
冷凍食品専門(!)のアイスランド(Iceland)、
百貨店マークス・アンド・スペンサー(M&S)の食品コーナーおよび食品専門店(Simply FoodからM&S Foodhallへブランド変更中)
などが絡むという、仁義なき構図ですね。
世間のイメージは:
みんなのテスコ
ミドルクラスのセインズベリー
とにかく安いアズダ
北からやってきたモリソン
ポッシュなウェイトローズとM&S
質は問うなのアルディ、リドル、アイスランド
…みたいな感じでしょうか。
テスコとセインズベリーは近年、コンビニ型の小型店舗にも力を入れてます。
郊外のショッピングセンター内や、家電から衣料品まで何でも揃う大型店舗だけでなく、地方のハイストリート(商店街)にも侵食してきましたよ。
(テスコ=Tesco express、セインズベリー =Sainsbury’s local)
石油大手BPのガソリンスタンドは、M&Sのコンビニを併設したりしてます。
皆さんが住む場所によって、どのスーパーが近くにあるのかが決まるので。
住む場所を探す際には、一要素に加えてみてはいかがでしょう。
品質と品揃え
やっぱり世の中は二極化してるんでしょうか?テスコとセインズベリーは、安さをアピールすると同時に高価格帯の商品ラインナップを充実させており。
(テスコ= finest、セインズベリー =Taste The Difference)
特にテスコの「finest」は、ウェイトローズとM&Sを凌駕するレベルの食品を揃えています。
パイント君が渡英した2000年代は、スーパーに行ってもあまりテンションが上がりませんでした。
飲み物のコーナーはブランドこそ違えど、オレンジジュースばかりずらっと並んでるし。
クロワッサンは冗談みたいな味。
魚は鮮度が低いのでクサイし。
唯一、嬉しかったのが牛乳やバター、ヨーグルトといった乳製品の充実ぶりや安さですかね〜
しかし今は!
パン類が超絶充実してるわ、マグロの切り身が売ってるわ。
ジュースはありとあらゆる果汁飲料、本格的なスムージー、アイスコーヒーまである。
寿司、温州みかん(↓「サツマ」と呼ばれる)、シイタケなどの野菜、冷凍ギョーザ、お菓子など、日本のものも簡単に手に入る。
レディミール(調理済み食品)は基本的においしくないけど、
「テスコfinestとM&Sの高い奴」
は別!
ものによっては、日本のコンビニランチをはるかに超えるレベルです。
↑サラダバーのある店が多いのも嬉しい。
オファー
スーパーに来たからにゃ、安ければ安いほどいい!そこでまず目に入るのが、「オファー(Offer)=お値打ち品」って奴ですね。
よくあるパターンが:
・Buy One Get One Free(1つ買えば2つ目はタダ)
・Any 3 for £○○(どの組み合わせでも3つで○○ポンドポッキリ)
・Meal Deal(サンドイッチなど+飲み物+ポテチやチョコレートの3点セット)*店によって名称は異なる
です。
↑Buy One Get One Freeは、シャンプーなどを買いだめすると非常にお買い得。
パイント君は、Any 3 for £○○を利用して、上で話したレディミールを購入する場合が多いですね。
おいしい奴は結構高いので。
↑Meal Dealは、急いでる時に助かります。
びっくりするのは、チョコの選択肢の多さ!
余談ですが、イギリス人は男性でもよくチョコを食べます。
日本のように、「辛党や左党は甘いものを食べない」なんて人には会ったことがありません。
イギリス人(ヨーロッパ人全般)は基本的に「酒もよく飲むし、甘いものもよく食べる」両刀使いです。
ビートルズの『ホワイト・アルバム』に、ジョージ・ハリスン作の
サボイ・トラッフル
というカッチョイイ曲がありますが。
親友のエリック・クラプトンが、チョコを食べまくって虫歯だらけだったというのがネタらしいです。
子供の頃は、このエピソードがあまりしっくり来ませんでした。
でも今では、よく理解できますね♡
それから最近はイギリスでも、日本の百円ショップに相当する1ポンドショップというのが流行っており。
スーパーにとって脅威となっています。
これに対抗してか、スーパーでは目につく場所に1ポンド商品がずらっと並んでいる、という光景をよく目にします。
営業時間
イギリスは朝型社会です。ボイラーの修理とかも、平気で8時前に来ますからね。
スーパーの始業時間も早く、例えばランダムに選んだ以下の2店舗の営業時間は:
セインズベリーのフィンチュリーロード店:午前6時〜午後12時
テスコのサリーキーズ店:午前6時〜午前1時
これなら、シングルマザーなど時間的に制約の多い人が、出勤前に買い物を済ませることは余裕で可能です。
一方、東京のスーパーの営業時間はこんな感じ:
西友の駒沢店:午前10時〜午後11時
イオンの碑文谷店:午前9時〜午後10時
始まるの遅っ!
しかも閉店時間もロンドに負けてる!
地方とて同じで、パイント君の実家(典型的な地方都市です)の近所のスーパーを見ても、どこも10時開店です。
昔はもっと早く開いてた気がするんだけど。
開店時間直前に行くと、早起きの高齢者が首を長くしてドアが開くのを待っているのを目にします。
日本は独自進化したコンビニがあるため、一概に比較できませんが。
残業がデフォルトの国ゆえ、お店が「遅くまで開いている」方が重視されてきたことが、朝軽視に繋がったのでは?と想像します。
パイント君は昔は典型的な夜型でしたが、イギリスに来てからは朝型人間に切り替わりました。
一部はスーパーのおかげかもしれません笑
ショッピングカート
イギリスのショッピングカート(Shopping Cart)はとにかくデカイ!その分、通路も広い。
通路が広い→スペースにゆとりがある→土地が広い→平地が多い→それにひきかえ日本は狭いなー
のように、ワケの分からない連想をしてショックを受けたりします汗
カートは基本的に2種類あり、大きい方は一週間分の食料が余裕で乗ります。
小さな子供も座れるようになってます。↓
小さい方↓も十分なサイズで、上げ底っぽい作りなので物が取り出しやすいです。
個人的には、こちらが気に入ってます。
もちろんバスケットもありますが、バカでかいので持ち運びに疲れます。
なので、ある程度モノがたまったら通路の端っこに置いて、遠くの棚にある商品を手ぶらで取りに行く人が多いです。
日本で同じことをやったら、ヒンシュクものです(苦笑)。
カートは互いに繋がって置いてあるので。
1ポンドコインを差し込んで鎖を外します。
これは盗難対策でしょう。
家に持ち帰ろうとする不届き者がいるのは、どこも同じ。
イギリスではさらに、一定の範囲内を出ると自動的に車輪にロックがかかる仕組みになってます。
(盗もうと思ったワケではないですが)本当に、全く動かなくなりますよ。
レジ
イギリスのレジ(Cashier)は世界標準?のベルトコンベア式。自分の番になったら、ほぼ間違いなくレジ係から「ハイ」と挨拶され、ちょっと和やかな気分になります。
その代わり、スキャンした商品を乱暴に投げられたり転がされたりしますが(苦笑)。
卵が割れていたりすると、レジ係がベルでスタッフを呼んで、ちゃんとした商品を取りに行かせます。
これはいいシステム。
「あっ、ひとつ買い忘れた!」と言って清算中にいなくなる自由な客も多いです(苦笑)。
その間、レジ係も、列を成している他の客も、辛抱強く待ちます。
どちらの場合も、当事者の客が次の客に「待たせてすみません」と言うことは滅多にありません。
日本だと、「圧」に負けて冷や汗ものですけどね。
イギリス人は、実に悠々としています。
レジ係と自分との個人的なやり取りであって、それが終わるまでは他の客は関係ないというスタンスでしょうか。
「やっぱり買うのやめた」という商品は、そのままレジに置いておけばいい。
客が棚に戻しに行く必要はありません。
ベルトコンベアは結構長いので、次の客はスペースが空いたらそこに買った商品を置いても構いません。
そうすると、どの客の商品なのかレジ係が分からなくなる恐れがあるので。
間に細長い札(Checkout Divider)を置くのです。コレ↓
前の客が次の客のために置くのがエチケット。
レジ係はこれをツマミ上げると、専用レーンの上で走らせてレジの端に戻します。
これが、バーテンダーがグラスを滑らせるみたいでカッコいい(笑)。
ちなみに、日本式の小ぶりなレジもあります。
これは普通、バスケットで10点以下の商品を買う客限定ですが、いちいち細かいことは言われません。
セルフレジ
最近はセルフレジ(Self-checkout)も急速に増えてますね。
パイント君は、基本的にこちらを使います。
大きなカートを使う人はベルトコンベアに並ぶので、セルフは結構空いてるし。
キャッシュバック
イギリスのスーパーで素晴らしいと思うのが、「キャッシュバック」
というシステム。
これは、買い物をデビットカードで支払う際に、レジで現金を受け取れる仕組みです。
例えば、38.49ポンドの買い物をしたとしましょう。
財布には現金がほとんど残っておらず、20ポンドくらいは持っておきたいなー。
こんな時、デビットカードさえあれば。
38.49ポンドの支払いをすると同時に、20ポンド札をゲット!
銀行口座からは、
38.49+20=58.49ポンド
が引き落とされることになります。
従って、わざわざATMに行かなくてもいいんです!
超便利じゃないですか?
日本にもあるにはあるようですが、ほとんど普及してないのでは?
レジでは、デビットカードで支払おうとすると、必ず「キャッシュバックする?」と聞いてくれます。
最初は、何のことだか分からなかったですけどね。
駐車場
イギリスのスーパーの駐車場は、とにかく広いです。
ロンドン中心部でも、クルマの試乗が可能なほどの広さを持つ店が多いですね。
オープンエアーのもの、地下のもの、スロープを登るもの、複数階にまたがるもの、入口にバーがあるものと様々ですが。
まず間違いなく停められます。
経験上、駐車場が混んでいて道路で待たされたり、渋滞に遭ったことは一度もありません。
店内の通路が広いのと同じく、やはり平地が多いためでしょうか?
なので、クルマで来てもストレスを感じることはなく、非常に快適です。
スーパーの駐車場はクルマの品評会でもあります。
昔と比べて、綺麗なクルマや高級車が増えたような…。
とにかく存在感を放っているのが、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの御三家。
日本と同じく、ドイツ車信仰が強いです。
これについては、別の機会に書きますね。
4.5〜5.0ポンドポッキリで、3人がかりで手洗いしてくれる洗車サービスが間借りしてることも多いです。
買い物している間に洗ってもらえちゃうので、最高です(これについても、また別の機会に)。
併設ガソリンスタンド
ガソリンスタンド(Petrol Station)が併設されているスーパーも、よく見かけます。
それだけに、BPやシェル、テキサコなどオイルメジャー系のスタンドより安いことが多い。
ホント、スーパー同士で1 ペンスレベルで価格を競い合ってます!
消費者にとっては嬉しいですが、イギリスはそもそもガソリンが高いので…。
あっ、ちなみにイギリスはガソリンよりディーゼル油(軽油)の方が高額ですので、ご注意を!
24時間営業がデフォルトなので、助かります。
おまけ:スーパー関係のオススメソフト
スーパーが関係するイギリスの映像・音楽ソフトをご紹介します。『国際諜報局』(1965)
マイケル・ケイン主演のスパイ映画ハリー・パーマーシリーズ第1弾。
パーマーは料理好きで、オムレツが得意。
スーパーで買い物中に、上司と出くわすシーンが出てきます。
『さらば青春の光』(1979)
ザ・フーの2枚組ロックオペラ『四重人格(Quadrophenia)』(1973)を映画化したもの。
主人公のジミーを振ったステフは、スーパーのレジ係として働いてます。
「ロスト・イン・ザ・スーパーマーケット」
クラッシュの2枚組『ロンドン・コーリング』(やはり1979)に入ってる曲。
労働者階級のミック・ジョーンズが歌ってますが。
中流出身の相棒、ジョー・ストラマーが、彼の育った環境を想像しながら書いた曲だそうです。
それでは、かなり長くなりましたので、この辺にしましょう。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
海外移住、脱サラ、フリーランスを目指している方をはじめ、皆さんのお役に立てば幸いです。