(↑ロンドン・ウォータールーの老舗パブThe Kings Arms。客が歩道にはみ出しているおなじみの光景)

皆さんこんにちは!

パイント君です。

 
今回は、あまり語られることのない

「パブの作法」
について解説したいと思います。

パブは怖くない

パブと言えばイギリス、イギリスと言えばパブ!

イギリスに旅行したり、実際に住むのであれば。

バプに一度もお世話にならない人は、まずいないのでは?

 
確かに最近は、健康志向の広がりや家飲みの増加により。

パブの数は急速に減っているみたいです。

「ロンドンの商店街」でも書きましたが。

ウチの近所の長屋の両端にあったパブは、両方とも閉鎖中(苦笑)。

 
それでも。

パブは相変わらず、イギリス人の生活の一部であると言っていいでしょう。

 
楽しみ方は人それぞれ。

千差万別です。

 
一人で新聞を飲みながらくつろいでもよし。

カウンターでバーマンと語らってもよし(仕事の邪魔をしない程度に笑)。

知らない客に話しかけてもよし。

人間観察もアリですね(ローカルかよそ者か、はたまた観光客かを見分けるなど)。

 
家族や親類で集まって、日曜日の昼に

「サンデーロースト」

としゃれ込む手もあります。

 
とはいえ。

 
我々日本人にとっては、最初は何となく敷居が高いことも事実。

そもそもパブって、建物自体ががイカツイし。

ドアや窓に嵌め込まれているガラスが時代モノなのか、牛乳瓶の底みたいで、中もよく見えない。

要は「ちょっと怖い」感じがして、気が引けてしまう方も多いことでしょう。

 
勇気のある人でも、意を決して入ってみたはいいが。

カウンターの中には、愛想の悪そうな(あくまで悪そうな、です笑)バーマンがいるし。

入店時に明るく「いらっしゃいませ」と言ってくれるワケでもない。

奥へと進んでも、

ローカル(地元民)の常連客に完全に無視されているような。

いや、好奇心と警戒心が入り混じった視線を感じる気もする。

 
そう、ウェスタン映画でよく見る、地元の酒場に紛れ込んだよそ者のような居心地の悪さといいますか。

完全アウェー状態。
 
スキンヘッドやタトゥーの怖そうなあんちゃんのグループでもいた日にゃ、正直、ちょっとビビります。

 
でも、ご安心下さい!

そうした疑念は、たいがいは思い込みです。

単なる自意識過剰。

 
最低限の作法さえ守れば。

一度でもパブを経験すれば、すぐ慣れますよ。

すぐに、イギリス人みたくアナタの「生活の一部」になることでしょう!

作法その1:順番を待つ

最低限の作法と言っても。

小難しいことは一切なし。

まずはカウンターで順番を待って、バーマンと目が合うまで気長に待ちましょう。

 
アイコンタクトがあれば、「ハロー」でも「ハイ」でもいいから、軽く挨拶して。

「Two pints of lager please.」(ラガーを2パイントお願いします)
のように頼めばいいのです。

 
心配しなくても、バーマンは驚くほどきちんと見てくれています。

順番を飛ばされることはほとんどありません。

 
なお、これはあくまで個人的な意見ですが。

ラテン系の観光客は横入りに対する罪悪感がない人が多いので、しれっとオーダーしようとします。

バーマンが気付かない場合は、「It is my turn」とでも穏やかに自己主張しましょう。

作法その2:支払いは1人がまとめて

で。

友人同士など、複数の人数で入店した時は、誰か1人が代表して支払うようにしましょう。

日本でよく見る、「別々に支払います」は野暮の極み!

(レストランでの各自カード払いは許容範囲ですが)

 
例えば4人グループの場合。

1 人が4人分をまとめてオーダーして支払い、4つのグラスをテーブルまで運ぶのです。

(ちなみに3本までは結構行けるのですが、4本はかなりテクニックが要ります。

自信がない人は、もう1人に手伝ってもらって、2本ずつ運ぶとかにしましょう)

作法その3:ラウンド

こうした1セッションを「ラウンド」と言います。

 
全員が1杯飲み終わったところで、第1ラウンドが終了。

最初にAさんが支払ったなら、次の第2ラウンドではBさんが4人分を買いに行く。

次はCさん、その次はDさんの番。

なので、4人グループだと全部で4ラウンドすることになります。

パブでは誰もが平等なのです!

 
もちろん、毎回これが厳密に適用されるワケではありません。

2回連続で払おうとする気前のいい人もいます。

お酒を控えている人もいるでしょうし、杯数も全員が同じとは限りません。

 
パイント君はプロフィールにも書いてある通り、大のビール好きですが。

1日当たり3杯までと決めておりまする。

 
ちなみに、自分だけ集合に遅れた時はどうするか。

テーブルに行くと、グラスにビールがほとんど残っていないか、空っぽの仲間もいることでしょう。

その場合、自分の分だけ頼むんじゃなくて。

みんなのグラスの空き具合を確認し、

「Would you like another pint?(もう1 杯飲む?)」
「What would you like to drink?(何が飲みたい?)」
みたいに聞くようにします。

そして、その人らの分も一緒にオーダーしに行くとスマートです!

作法その4:お金を集めておく手も

最初から各自が10ポンドとか20ポンドを出し合って、テーブルに置いておくパターンもあります。

 
 
いわばこれが今夜のバジェットで、グラスが進むたびに残高が減っていくという塩梅ですな。

飲み足らなかったら、お金を足せばいい。

あまりたくさん飲めない人がいれば、その分は適当に気を使ってあげましょう。

作法その5:「タブ」を活用してもよし

「タブ」作戦もアリです。

タブ(Tab)とは、その日限りのツケ払いのこと。

クレジットカードやデビットカードををバーカウンターの後ろの棚に預けて。

(ホテルの受付のキー置場みたいな感じ)

 
注文するたびにどんどん加算していくのです。

店を出るときに一括清算して、タブは終了。

会社の飲み会や奢りなど、1人が全額を支払う場合にとても便利です。

(自分の「ラウンド」分だけをタブしても、もちろんオーケー)

 
やり方はカンタン。

カードを見せて、

「Can I start a tab?」(ツケ払いはできますか?)

と聞けばいいのです。

 
その後はオーダーする度に、

「Put it (them) on my tab please.」(これをツケて下さい)
とでも言えばいいのではないでしょうか。

 
そして最後の支払いの際は、

「Can I close the tab?」(締めてもらえますか?)
と言って精算してもらいましょう。

レシートの確認を忘れずに。

作法その6:営業時間を尊重しよう

営業時間の延長申請をしていないパブであれば。

法律上、23時になると店を閉めなければなりません。

 
なので、22時45分か22時50分になると。

ラストオーダー(Last orders)またはラストコール(Last call)を知らせる、ホンマもんのベルかドラが鳴ります。

そうすると、飲み物の注文を受け付けてくれませんので注意しましょう。

 
そして23時になったら店員が見回りにきて、

「早く飲み干して下さい」

と言われます。

 
かつては

「ドリンキングアップ・タイム(Drinking-up time)」
と言って、

閉店後も最長20分は粘ることができましたが。

2005年に営業時間の延長ライセンスが導入されてからは、これが法的に認められなくなりました。

なので、最近はラストオーダー自体を閉店時間の20〜30分前に設定する店が多いかもしれません。

 
何しろパブは重労働だし、法律が厳しいので。

お店の営業時間を尊重するようにしましょう。

作法その7:とにかく楽しむ

ワイワイでもまったりでもいいから、とにかく楽しむこと!

イギリスでは多少は喋らないと相手にしてもらえませんから。

1つくらいは話題やジョークを提供するように心掛けましょうね。

ただし、あまりバカでかい声は出さないようにしましょう。

意外と注意されることもあります。

最後に

最後に、パブ絡みのソフトをご紹介しますね。


↑イギリスのパンクバンド、スプロッジネッサバウンズ(Splodgenessabounds)の最も有名な曲をタイトルにしたライブ盤。
 

↑上の曲名と似たようなタイトルの、2001〜11年にBBCで放送されたシットコム。

 

↑ブリティッシュ・ロックの雄、キンクス(The Kinks)のライブ盤。

「One for the road」とは、(飲んべえが)帰り際に注文する最後の一杯のこと。
 

↑12軒のパブ・クロール(Pub crawl、はしご酒)に挑戦するイギリスのSF?映画。

 
それでは、是非ともパブライフを楽しんで下さい(^_^)

 
最後までお読みいただき、ありがとうございました!