突然ですが、日本語か英語かに限らず。
我々のような文章の書き手にとって、一番難しいのは何といっても
「タイトル」
ニュースなら「見出し」
広告なら「キャッチコピー」
でしょうか。

とにかく、
「読者が最初に目にする短い文」
です。

これが目を引かないと、
せっかく素晴らしいコンテンツを用意しても、
全く読まれないワケです。

今度はちょっと視点を変えて。
逆に読み手の立場に立ってみましょう。

例えば、イギリスに住むアナタが、たまたまBBC電子版でニュースを読んでいたとします。
あるいは、ザ・サン(The Sun)のようなタブロイド紙、
フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)などのビジネス紙
を手に取っていたとしましょう。

もし見出しの意味が一瞬で分からなければ、
せっかく素晴らしいコンテンツが目の前にあっても、
スルーしてしまうワケです。

これは実にもったいない。

先ほど、上手な見出しを書くのは一番難しいと言いました。
それは、たった1行の短い文に、書き手の能力、考え方、性格、これまでどのような人生を送ってきたかが全て反映されるからです。

これは決して誇張ではありません。
日本語と英語で死ぬほど
「タイトル」「見出し」「キャッチコピー」
を書いてきた、KENROの偽らざる感想です。

さて、英語のニュース・新聞に話を戻しましょう。
そんなあらゆる要素が凝縮された
「見出し」。
もしこれが攻略できれば、
英語のエッセンスを理解することにつながると思いませんか?

もちろん最初は、見出しと本文との間を行ったり来たりして、
「ああ、見出しはこういう意味だったのか」
と“逆流”を繰り返しながら確認作業をする必要があります。

しかし、ここで朗報♪
見出しの解読にはちょっとした「コツ」があるのです。

過去形に見えるのは全て過去分詞!

見出しではよっぽどのことがない限り、過去形は使われません
過去形と過去分詞が同じ形の動詞は多いけど、見出しで登場するのは
全て過去分詞
だと覚えて下さい。

つまり、受動態現在完了形ということになります。

その際、Be動詞や”have been”が省略されるので。
パッと見
「過去形じゃないか?」
と考えてしまいます。

例えば、9月26日付のBBCに出ていた以下の見出しをご覧下さい↓

Netanyahu asked to form next government

動詞”ask”の過去形と過去分詞が同じ”asked”なので、
一見「過去形かな」と思うかもしれません。
もし過去形なら、
「ネタニヤフは新政権を樹立するよう要請した」
という意味になり、誰に頼んだのかが分からない居心地の悪さを感じます。

で、この見出しは実際は
Netanyahu has been asked to form next government
を短くしたもの。
「ネタニヤフは新政権を樹立するよう要請された」
という意味になります。

これを知っていれば、半分は攻略したも同然♪

英語の構造・フィーリングが掴めるようになります!
ネイティブが文を組み立てる際の思考回路が、だんだんと分かってきます。

過去のことは現在形で書かれる

上に書いた通り。
見出しでは基本的に過去形は使われません。
では、過去のことをどうやって表すのか?

それは
現在形を使う
です。

再び、9月26日付のBBCから例文を拾うと:

Puyol rejects sports director offer

(プジョル、スポーツディレクター就任のオファー断る)
通常の文であれば、
Puyol has rejected sports director offer
となるはずです。

報道ですから、まさに今目の前で起きているような臨場感を出す意味合いもあると思うんですよね。
これは日本語でも同じではないでしょうか?

最近は文末を名詞で締めることが多いのですが、それでも
「ラグビーW杯 日本、南アを下す」
みたいなパターンをよく見かけますよね。
これはもちろん、下した、つまり勝ったという「過去」の出来事を表しています。

文語調だと結構ありますね。
「死す」(最近は死去とか逝去という場合が多いけど)
「巨星墜つ」とか。

ちなみに英語でも日本語でも。
見出しでは、現在のことは現在形で書かれます(当たり前といえば当たり前)。
従って、
現在形を見たら過去か現在の話
だと思って下さい。

Be動詞は省略されやすい

これは、一番上の過去分詞の件と密接な関係にあります。
過去分詞の場合、Be動詞や”have been”が省略されると言いましたが、
これは形容詞や名詞の場合も同じ
(そもそも過去分詞は形容詞的に使われる場合も多いです)

形容詞の例:
Opposition furious as defiant PM demands election
(挑戦的な首相が解散総選挙を要求、野党は怒り心頭)

名詞の例:
Parliament a place of fear and loathing after debate
(議会、討論後は恐れと嫌悪の場に)

両方とも、9月26日付BBCニュースから拝借しました。

ご想像通り、これら2つの見出しは
Opposition is furious as defiant PM demands election
Parliament is a place of fear and loathing after debate
を短くしたものです。

単語自体が難しくてすみませんが、何となく感じはつかめました?

冠詞は省かれることが多い

英語の授業でさんざん、冠詞は重要だと教えられませんでしたか?
これと矛盾するようですが、見出しでは結構、省略されます。

日本語で「助詞」を省略する感じとでもいいましょうか?
例えば、以下の見出し
車の追加関税回避を確認 日米首脳、貿易協定締結へ
は、
車の追加関税回避を確認した 日米首脳貿易協定締結へ
が本来の文ですが、いくつかの助詞が省略されています。
逆に言うと、省略されてなければ、もはや見出しとは言えませんよね?

英語も同じで、真っ先に省かれるのが
Be動詞、have been、冠詞
と言うワケです。

これまでの例文も、さらに踏み込むと:
Netanyahu has been asked to form the next government
Puyol rejects the sports director offer
The Opposition is furious as a defiant PM demands for an early general election
The Parliament is a place of fear and loathing after the debate
アンダーラインの部分が省略されていることが分かります。

冠詞というのは、英語という言語の根幹を表す概念なので。
日本語の「は」と「が」の使い分けにも匹敵する、あるいはそれ以上にマスターするのが難しい分野。

なので「見出しでどの冠詞が省略されるのか」に注目すれば、
どんどんと英語のセンスが磨かれていくことでしょう!

首都名が出たらそれは政府のこと!

Tokyo(東京)とか、Beijing(北京)とか。
首都名が見出しの主語として登場したら、それは
政府を意味する
と思って下さい。

例えば
Seoul denies Japan Claim of North Korea sanction violations
(韓国政府、北朝鮮制裁違反だとする日本の主張を否定)
などです。
Washington(ワシントン)なら、まだピンと来るのですがねー

ちなみに、Brussels(ブリュッセル)の場合はベルギーではなく、
欧州連合(EU)の欧州委員会
を指すことが多いです。

チームは単数に見えても複数形

Japanのような国名の後に来る現在形の動詞は普通、「三単現」になりますよね?
しかし、ラグビー日本代表のようなスポーツチームの場合は
複数形扱い
となります!

例えば
Samoa recover from slow start to beat Russia
(サモア、ロシアを破って遅いスタートから回復)
Real Madrid beat Osasuna to go top
(レアル・マドリード、オサスナ破り首位に)
といった具合。
recoverもbeatも、”s”が付いてませんよね?
これは、複数の選手が集まって一つのチームを形成しているからだと思います。

乗り物などの注意書きも絶好の教材

見出しやタイトル、キャッチコピーとはちょっと性質が違うのですが。
乗り物などに書かれている短い注意書きも、見出しを攻略するための勉強になりますよ!

注意書きというのは、極限まで短い文で必要なことを正確に伝える必要があります。
そういう意味では、役割は見出しと全く同じ!

KENROは、乗り物やトイレ、ホテルで注意書きを見掛けるたび、
声に出して読んで、できるだけ丸暗記するようにしています。

例えば、飛行機に乗ると。以下のような注意書きをよく見ますよね:
Life vest under your seat(救命胴衣は座席の下にあります)
Fasten seat belt while seated(着席中はシートベルトをお締め下さい)
Stow and latch handset and table during taxi, take off and landing(滑走、離着陸時は端末とテーブルを元の位置にお戻し下さい)

「Life vest under your seat」
は、Be動詞が省略されているパターン。
本来なら「Life best “is”」のはずですよね。

そして、ミソは「your」。
Life vest under seatでも良さそうなのに、わざわざyourが入っている。
これは、救命胴衣が前の座席の下ではなく、「あなたの」座席の下にあることをはっきりと伝えるためでしょう。

「Fasten seat belt while seated」は、
Fasten the (your) seat belt while you are seated
の略でしょう。
冠詞とBe動詞が共に省略されている例です。

「Stow and latch handset and table during taxi, take off and landing」
も、handsetの前のthe(your)が省略されています。

…以上、今までのおさらいも含めて書いてみました。

経営者・起業家の皆様の英語力向上のお役に立てれば幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

カテゴリー: english

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